お茶の水建築巡礼|ニコライ堂〜聖橋〜アテネフランセなど

昨日、お茶の水を散策しました。

高校時代に3年間、お茶の水の駿台予備学校に通っていました。夕方、授業を受けていると、ニコライ堂の鐘の音が響いていました。

目次

ニコライ堂(東京復活大聖堂)

お茶の水建築巡礼のスタートは、ニコライ堂です。

ニコライ堂の外観

ニコライ堂の正式名称は、東京復活大聖堂。イエスキリストの復活です。

ジョサイア コンドル先生も設計に関わり、1891年に完成しました。煉瓦造。1923年の関東大震災で被害を受けましたが、岡田信一郎先生の設計で再建されました。

建築様式は、ビザンチン建築とされています。その特徴として、ドームに加え、モザイク画がありますが、今回は残念ながら、礼拝中で中に入れませんでした。

1962年に国の重要文化財に指定されています。その後、修復も行われ、今に至っています。

続いて、湯島聖堂を訪れ、その記事をこちらにしたためていましたが、9月1日に湯島聖堂の記事を改めて投稿しましたので、こちらの記事は削除し、そちらに統合しました。ということで、湯島聖堂については、新しい記事をご覧ください。

聖橋

ニコライ堂から湯島聖堂に向かう途中、聖橋(ひじりばし)を渡りました。

昌平橋から見た聖橋

アーチ構造。設計は、建築家の山田守(やまだまもる)先生です。東京大学卒業後、逓信省に入りましたが、内務省復興局にて、関東大震災復興の一環として、聖橋の設計に携わったそうです。1927年に完成しました。2017年に土木学会選奨土木遺産。

山田先生は、退官後、東海大学の設立に関わり、建築の教育にもあたりました。先生の代表作と言えば、日本武道館や京都タワーが挙げられます。東海大学の校舎の設計も行っています。曲面を用いたデザインが特徴ですが、聖橋にもそれが窺えます。

ちなみに、聖橋は道路も跨ぎますが、歩道部分もアーチ状になっています。

アーチ状になった聖橋の歩道部分

聖橋の名前は、先述した2つの聖堂を結ぶことに由来しています。下記の写真は、湯島聖堂の前から撮りました。先に見えるニコライ堂(東京復活大聖堂)に向かって真っすぐなあたりが聖橋の上になります。

湯島聖堂から見た聖橋とニコライ堂

次のスポットに向かう途中、ノーマン フォスター先生のセンチュリータワーが見えました。1991年に竣工。現在は、順天堂大学が所有しています。

センチュリータワー

アテネフランセ

続いて、アテネフランセです。

アテネフランセ外観
アテネフランセ外観

吉阪隆正(よしざかたかまさ)先生の設計です。1962年に竣工。

歩道に迫ったコンクリートのピンク色がひと際目立ちます。この塗装に加え、アルファベットも彫り込まれ、コンクリートが本来的に持つ威圧感のようなものは感じられません。

ピンク色の壁に掘り込まれたアルファベット

1969年に最上階を増設。

アテネフランセ外観

また、塔も増設しています。こちらも、女神の横顔が彫られ、塗装が施されています。

壁に掘り込まれた女神

ステンレス部分は1972年に加わりました。素材的に異なりますが、後述するように、建物全体に一体感が欠如するようには見えません。

アテネフランセのステンレス部分

吉阪隆正先生は、1950年からの2年間、ル コルビジェ(一般的には、ル コルビュジエ)先生に師事しました。荒々しい建築を志向しながらも、彩色によってそれを和らげようともした時代。アテネフランセの建物には、その流儀が感じられます。

建物内は南仏のようにカラフルですが、外壁は、鮮やかな原色の生き生きした感じのものではなく、登山家でもある吉阪先生が見たアンデスの夕日。それがピンク色の正体です。

既述した最上階の増設部の流線形は、山に合うデザインです。入口の庇や増築されたステンレス部分は、正に銀世界。皀角坂(さいかちざか)の上に佇むアテネフランセは、吉阪先生にとって、アンデスの山小屋だったのでしょう。

補足ですが、吉阪先生は都市計画にも関わりました。先生が半世紀前にぶち上げた東京計画は、山手線内をそっくり緑化するというもの。先生の先見性に驚かされます。

文化学院

アテネフランセのほど近く、1936年築の文化学院。設計は西村伊作(にしむらいさく)先生。建て替えられ、2008年に高層建築となりました。その際、旧校舎の入口部分が保存されました。ちなみに、文化学院は2018年に閉校しました。

文化学院の入り口

神田猿楽町町会詰所

神田猿楽町町会詰所(かんださるがくちょうちょうかいつめしょ)。元々は、1930年頃に駐在所として建設されたそうです。設計者は不明とのことです。初期の鉄筋コンクリート造として希少性が見出せるようです。千代田区の遺産とのことです。

映画やドラマのロケ地になっています。たとえば、是枝裕和監督で、韓国の個性派女優ペ ドゥナ主演の空気人形では、交番として登場しました。

神田猿楽町町会詰所の外観

カトリック神田教会

今回の巡礼の最後は、カトリック神田教会。マックス ヒンデル先生が設計し、1928年に完成。

ロマネスク様式とルネサンス様式を融合させた建築とのこと。装飾目的のアーチの並び、全体的に箱型というロマネスクの様式は見て取れますが、ルネサンスを特徴づけるようなドームや神殿の雰囲気は見当たりません。機会があれば、中も確認してみます。国の登録有形文化財です。

カトリック神田教会の外観

今回は、ここまでです。いかがでしたか。

暑い日が続きますが、引き続き、建築巡礼を楽しみたいと思います。

それでは、また。

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