東京都庭園美術館・邸宅の記憶 03|階段、居間、書斎、浴室、寝室

引き続き、旧宮邸を探訪します。前回まで、1階のパブリックスペースを見てきました。今回から、2階のプライベートスペースを巡ります。

2階に上がる階段ですが、ステップ部分、腰壁、手すりには、色の異なる3種類の大理石が使われています。手すりのジグザグは、アールデコの特徴の一つとされています。ガラスとともにはめ込まれた金物には花模様がデザインされています。

上がってすぐ、広間があります。暖房カバー、壁面模様づけなど、随所に日本らしさが見て取れます。広間からはじまる2階の空間は、基本、宮内省によりデザインされたようです。

広間に面し、若宮様の寝室があります。北東2面採光の明るい居室です。緑を望む窓サッシは、当時からのものとのことです。照明は、艶消し加工が施されたガラスのものが設置されています。これから紹介する各室の照明も含め、宮内省が手がけたそうです。

隣室の合いの間は、若宮様の居間に続く場所です。白漆喰のヴォールト天井が空間のコントラストを際立たせています。照明も個性的です。

居間は、ほぼ正方形ですが、飾り柱は断面が丸く、天井は左官仕上げの円形で、ペンダント照明の色合いも含め、温かみのある明るい空間を作っています。木材の色との対比が、落ち着きのある雰囲気を醸し出しています。

1階正面玄関の車寄せの屋根がバルコニーになっています。

続いて、殿下のスペースを見ていきます。まずは、書斎。正方形の四隅に設置された飾り棚、ドーム型の天井により、空間は円形であるかのように見えます。断面の丸い付け柱も調和しています。デスク、チェア、カーペットなどは、空間に合わせてデザインされています。デスクは、太陽光の差し具合に合わせて作業ができるよう、回転できるそうです。

書斎には、書庫が併設されています。

続いて、殿下居間です。高さのあるヴォールト天井が空間に広がりを与えています。ヒノキ材の付け柱に加え、大理石の暖炉、鏡は空間に品格を添えます。暖炉カバーのデザインには、アールデコのモチーフとしてよく見られる噴水が施されています。壁紙とカーテンは、最近、復元されたそうですが、描かれた放物線はアールデコらしい幾何学模様になっています。2階のうち、書斎と殿下居間だけは、アンリ ラパンが担当しました。

続いて、殿下寝室です。装飾は抑えられ、静かな雰囲気が感じられます。天井を照らすこちらの照明も、先述したように、宮内省が手がけました。

寝室に隣接して浴室があります。主に、殿下が使用されたそうです。床には、国内の製陶所で焼かれたモザイクタイルが敷き詰められています。壁には、フランス産の希少な大理石が左右対称に張られています。ブックマッチという技法とのことです。

ちなみに、1階の玄関そばに、客用洗面台があるのですが、浴室と同じ大理石を使用していて、切り出し方を変えることで異なる模様を見せているそうです。

以上、いかがでしたでしょうか。今回は、ここまでにします。次回は、妃殿下、姫宮様のスペースから見ていきたいと思います。

それでは、また。

東京都庭園美術館
https://www.teien-art-museum.ne.jp/

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