東京都庭園美術館・邸宅の記憶 02|大食堂、アンリラパンの壁画

前回に続き、旧宮邸の探訪記です。

今回は、大客室に隣接する大食堂から始めます。前回の大客室同様、アールデコの粋が集められている場所とされています。

窓は南側に張り出し、庭園を望む開放的な空間を創出しています。

吊り照明はルネ ラリックの作品で、果実が施されています。

マックス アングランのエッチングガラス扉に描かれているのも果実ということです。

暖房カバーは宮内省が作ったもので、魚や貝がデザインされています。

壁面はレオン ブランショによるもので、植物が施されています。フランスから送られてきたコンクリート製のものは損傷していたため、日本で石膏を使って作り直したそうです。銀色の塗装が施されています。

柱と壁の大理石も含め、鉱物的な素材で空間構成されていることは、アールデコの特徴の一つです。

大理石の暖炉の上の壁画はアンリ ラパン作で、朱色の植物棚と視線誘導される泉に加え、色鮮やかな果実が描かれています。

レイモン シュブによるサイドボードも鉱物的な素材で作られ、アールデコの空間に溶け込んでいます。ボード上のガラスの燭台はルネ ラリックによるものです。トウキョウと名づけられています。

ちなみに、日常の食事の際は、大食堂傍の小食堂が使われたそうです。小食堂は、和の要素が取り入れられています。天井は杉板が用いられ、床の間があります。暖房の鋳物のカバーにデザインされているのは日本の伝統模様とのことです。

大食堂を出ると、喫煙室があります。食後の社交を楽しんだようです。元々は、小食堂同様、床の間もある和風の空間でしたが、現在の内装は改装後のものと言うことです。

以上、大食堂を主に記しました。次回は、2階に上がり、プライベートスペースを見ていきましょう。

それでは、ごきげんよう。

東京都庭園美術館
https://www.teien-art-museum.ne.jp/

目次